潤くんの演じる葉山先生。
劇中にどんな空気が流れるのか楽しみにしていた「ナラタージュ」。
泉の目線の中で生きる葉山先生を演じる潤くん、とてもよかったな。
秋は仕事が忙しくて、公開してすぐ見てからなかなか映画館に通えなくて少々心残り。
気づいたら近場での上映が終わってしまっていて、年末ギリギリでお台場まで見に行ってきた。
あと2回くらいは大きなスクリーンで見たかった〜。
まず、期待を裏切らなかったあの重苦しくて切ない小説の中に漂う空気が見事に再現されていて。
監督、うまいです。
まるで泉の心の中をとりとめもなく浮かんでは沈んでいく思いを一緒に眺めているようで。
あまり説明しすぎることなく物語が進んでいくあたりが、また小説の中にはない映画の面白みがあった。
どうとでも想像できるというか。
もともと正解も答えもないことなんだけど、見る側にずいぶんとゆだねられていて。
受け取る側の経験値でだいぶ違う映画にうつるんだろうと思うから。
見るたびに、違う印象や発見が得られそうな気がする。
現時点での自分の経験値での感想をメモるといろいろバレそうな感じだけど(笑)
もうあの最後、泉が寝ている先生を見つめてひとり去っていくところから、
走り出した電車の窓に、自分を探して立ちつくしてる先生と目が合うところがね。
もうたまらなかったですな。
号泣とかじゃなくて、勝手にずっと静かに涙がこぼれて。
いろんなものを全部取っ払ったら、お互いがとても大事な存在であったということだけで。
懐中時計に残されていたメッセージが時を経て、ちゃんと泉に届いてよかったなと。
それまでふわふわと漂っていたその思いを、やっと昇華することができた(る)んじゃないかなとね。
だから最後に流れる野田くんの作った歌が! すごいよかったよね。
実は甥っ子希望で「君の名は。」も付き合いで観に行ったのだけど。
自分は映画本編よりもあの映画に野田君が書いた歌に感動。とくに「なんでもないや」
あの歌があってやっと完結する感じ。すごい仕事をする人だなぁって。
映画を観に行ってあんなに音楽に感動することはそうないもの。
だから今回の歌も、同じように最後に流れるにふさわしい。
どこも切り取れないくらい、歌詞がものすごくいいよね。
こういう歌詞のかける人って、本当にこの時代の宝物だなと。
きっと、またいつか時がたってから観たときには、最後違った気持ちでこの歌を聴くのかもしれないよね。
そんなこと考えるとそれも嬉しい。
そして、我らが松本潤ですけど!
ここでこんな瞳をするんだ!って何回もドキッとさせられて。
大ちゃん風に言えば、あっちゃー!ですよ。
若いころから瞳で芝居できる人ではあったけど、あんな表情は初めて見たよ。
しかもずるい。大人なのに弱くて無防備で。あたたかい。
松本潤からあの表情を引き出してくれてありがとうだよ。
あんなずるい男には、甘えることも、弱いところをみせることができなかった泉の気持ちが切ないし。
レース(?)のティッシュケース、痛いし。
でも泉にとって葉山先生は、自分を守ってくれた人で。
そして、苦しくてもそばにいて守りたい人。
泉のどこにも行きつけない、どうしようもない感じと葉山という人を、
あの早朝の踏切に立つ姿ですべて表現できてる気がして。
やっぱ、監督うまい。と思いました。
後輩ちゃんに貸していた小説も戻ってきたので。
DVDになったら、また読み返してゆっくり観たいです。
あと。空回りして泉を傷つけて、自分も傷ついていく小野役の坂口くんの演技もよかったな。
あのさわやかで優しそうな人が、どんどん怖くなっていくところとか。本当に怖かったよ。
恋って…。な。
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